感性品質とは,人間が抱くイメージやフィーリングによって評価される品質を指します. 本研究室では,統計解析を用いて,感性品質を考慮した製品,サービスを設計する方法論の確立を目指しています.
感性品質を考慮した製品設計に関する研究
感性品質とは,人間が抱くイメージやフィーリングによって評価される品質のことです.たとえば,「この車は乗り心地がよい」「このお菓子のパッケージデザインはおいしそうに見える」といったものは,人間の五感によって評価されるものです.このように,人間が製品,サービスを使用したときに抱く印象を評価し,それを設計に落とし込んで,よりよい製品,サービスを生み出す方法論を検討しています.
人間は,物を見る,聞くなどの五感によって対象を知覚し,過去の記憶と照合しながら判断して,行動に移します.これを認知・知覚過程といいます.感性品質を考慮した製品を設計するために,これらのつながりを評価できるよう,認知・知覚過程に対応付けて,対象製品・サービスを評価するための用語(評価用語)を抽出します.そして,被験者に複数の製品を使用してもらい,各評価用語の評点をつけてもらいます.それをグラフィカルモデリングという統計手法などを使って分析し,図aのように,評価用語の関係性(感性評価構造)を解析します.これをもとに,実際の製品・サービスを設計します.
これまでに,商品ペットボトルのパッケージデザインの改善,タッチパネルの操作感の向上,蒲鉾販売店のおみやげ用手提げ袋の改善,チャック付き袋の易開封性の向上といった研究を行ってきました.
要求抽出方法に関する研究
感性品質を考慮した製品,サービスを企画するときだけでなく,新商品・サービスの開発・創出の際には,お客さん,ユーザの要求,ニーズを捉える必要があります.基本は,インタビュー調査やアンケート調査を実施することになりますが,その質問項目や実施方法によって,収集できるお客さんの声は異なります.また,今後,製品・サービスの開発に活用できるような形で,要求を抽出,整理しなくてはなりません.
また,現代の社会では,すでに高品質な製品,サービスが数多くあります.このような中で,ヒット商品,サービスを生み出すためには,ユーザがまだ気がついていない潜在ニーズをキャッチし,新たな顧客価値を提供していかなくてはなりません.これは簡単にできることではありませんが,新たな価値の創出につながるようなユーザの要求,ニーズを抽出する方法を探求していきます.